小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「あ、いやいや全然そんな。……って言うか、すみれさん、ここに住んでるんですか?」


「んなわけないでしょ」


「ですよね。いやー、それにしても、職場で下着とか何のエロビデオの撮影かと」

のっそりと上体を起こし、淡々と話すのが逆に恐ろしい。

「ちょっ……やめて、なにそれ」

「いや、見た瞬間てっきり……」


これ、なんて説明すればいいんだろう。普通にごまかすしかないか。


「ごめん、ちょっとあそこで着替えてたの。ここ、更衣室とかないじゃん?」


「よかったー、皆の憧れ、すーちゃんセンセが、誰もいない職場でセクシーな格好を晒すのが趣味とかじゃ、もう完全にAVの売れ筋ラインナップですもんね」


バカじゃないの、と勢いに任せて言い返したかったけれど、下着姿で職場にいるなんて、誰もいない時間帯とはいえ迂闊過ぎて強くは言い返せない気がして、思わず黙りこむ。

昨日の諸々からして、私本当に迂闊過ぎる。
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