小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「優しい!さすが、皆の憧れ、すーちゃんセンセ!」

後ろから飛んでくる声に、
「いや、誰も呼んでないし、憧れじゃないし」
と独り言に近いトーンで返す。


とりあえず、『もしかして、好きな男の人とエッチしたかもしれないんだけど酔って記憶がございません』という罪悪感と向き合わずに済んだことをありがたく思う。


事務室の一番奥、ついたてで区切っただけの小さな家庭用キッチンのようなガスコンロと水道がある給湯スペースで、ほっと一息つく。


あーあ。
私は、今まで男運が悪いんだと思ってきたけど、違うのかもしれない。私にも色々原因があったんだろうな。


このあと、どんな顔して蓮田さんに会えばいいんだろう。
私、自分はそんなに肉食ではないと思っていたけど、蓮田さんと両思いかも、なんて舞い上がっていたら……確かに、『おねだり』とやらを絶対しない!と言い切ることも出来ないような。

さ、最低じゃないですか、私……。
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