小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……すみれさん、彼氏候補って、本当にいたんだ?」


やっと喋ったと思ったらなんですかそのピンポイントに人の傷をえぐる質問は。


「は?な、なに……が?」


もうほんと、自分の演技力の無さが嫌になる。しどろもどろにもほどがあるわ。


多分視線が泳いでいたであろう私の腕を、梶山君が掴む。

思いの外手が大きくて、その力の強さに心臓がドキドキする。


何?何で?どうしちゃったの??


怖いわけではないけれど、目の前にいるよく知っている『職場の面白くて憎めない後輩君』は、『真剣な表情で何かを訴えてくる謎のイケメン』に姿を変えていて、言い知れない不安が私を襲う。


「……そいつと、ヤってきたんだ?付き合うんですか?もう付き合ってるんですか?」
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