小悪魔な彼の想定外な甘い策略
何だか雰囲気に流されそうになるのに抗うように、気をしっかりともつ。


「いや。早く来てるのはコンビニのかわいこちゃんの為でしょ」


「……」


ぎゅうう、と強く抱き締められてから、ふわっと身体が離される。


目の前には、いつものちょっとふざけたような梶山君の顔。

「ハハハ、ばれましたー?いやーうっかりセクシーな姿見たら触っとこーかなー、みたいな?」

みたいな?じゃないっつーの。

「それね、普通、捕まるからね」


「ですよね、日本って本当に窮屈」


「……梶山君、生粋の日本育ちだよね?帰国子女ぶらないの!」


すっかりいつもの顔に戻っている梶山君にほっとしつつ、軽口を叩きあう。


「はーい、おとなしくお湯沸くの待ってまーす」

いつものふざけた感じで梶山君がついたての向こうに消えてほどなくして、事務室が騒がしくなってきて、仕事ムードになってくる。


結局私の用意したお湯は、職員のお茶となり、梶山君はカップラーメンが食べられなかった。
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