私たちの物語
何分たっただろうか。

もう、30分くらいたったのではないだろうか。

私の泪は一向に止まる気配はないし。

タクは何にもしゃべらないし。


喋れないのは、イヤッ!

もういい、言っちゃえ!!!


「好きっ!!
好き!
好き!
好き!
好き!
好きなのぉ!
タクが……
ずっと前から
ずっと好き!

もう、優しくしないでぇ!

もっと好きになっちゃうじゃんっ!」


ビクッ

私が急にそんな事を言うから、タクが引いたんだろう。

仕方ないじゃん!

好きしか出てこないんだもん!


タクがゆっくりこちらを向く。

顔が真っ赤だ。


「桜、反則だよ、それ。

泣きながら、好きって……」


タクが自分の髪をぐしゃぐしゃとかく。


「さっきも言ったけど。

桜、そーゆーのは、男からするもんでしょ!」


「好きなんだもん!

もう、好きのバケツが、いっぱいいっぱいなんだもん!」


「桜、落ち着いて。

あのね。

俺も桜が好きだから。

多分、桜が俺を好きになる前からずっと。

つか、俺の方が我慢しなきゃいけねんだから!」


え、タク、今、私の事が好きって言った?

ないないないないないないないないない。


てか、私より前から好き?

ないないないないないないないないない。


「嘘だ。」


タクが驚いている。



「いや、なんで?

俺、小1の夏からずっと好きだけど。」


小1?!

私たちが同じクラスになったのは小4のはずなんだけど。


「たまたま桜のクラスに行ったら、桜が居て。

一目惚れです。

はい。」


私、そんなにかわいくない!


「桜、そろそろ、その涙と上目使いやめて。

いろいろヤバい。」


ん?

あぁ、気持ち悪いのね。

ゴメン。


「桜、好きです。

俺の彼女になってくれませんか?」


「へ?

……はい!!」


嬉しい!

嬉しい!!

タクが私なんかをなんで好きになったかわかんないけど。


「タク、大好き!!!」


「桜、我慢できなさそう。

とりま、抱きついていい?」


!!!


「いいよ。

許可とか、とらなくていいから。

タクがしたいときにしていいよ?」


「ありがとう。

でも、それ、もう言わないで。

可愛すぎて、いじめたくなる。」


「タクのドS!」


「桜はドMだろ?」


「そーだけど。」


「じゃあ、ドMさん。」


まだ、抱きついていたかったけど、タクが離れるから仕方なく離れた。


「俺のこと、タクじゃなくて拓巳ってよんで?」


「えっ?!

た……拓巳?」


「良くできました。」


拓巳。

大好き!

ずっと好きだからっ!


私は、思いきって自分の顔を拓巳の顔に近づけた。




END
< 79 / 79 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop