君とキスをした。
目からあせがでる
「あれ、川崎、どうした」
ちらっと教室の入口を見ると、
同じクラスの綾瀬君がいた。
背が高くて、きりっとした顔の綾瀬君。
前までたしか髪の毛茶色に染めてたけど、ちょっと前から黒に戻っていた。
私は黒の方が似合うと思うから、別に違和感はなかったけど。
「別に…寝てるだけだよ」
私は顔を隠すようにまた腕の中に顔をうずめた。
すると綾瀬君はちょっと早足で私に気に近づいてきて、私の隣に来てしゃがみこんだ。
「今日鼻声だね、川崎」
「普通だよ」
さっきまでの事を何も知らないのに
かまってくる綾瀬君にちょっといらいらした。
私は小さい声でぶっきらぼうに言った。
川崎くんは優しく微笑んで私の頭をそっと撫でた。
私の頭に乗った綾瀬君の手は
思っていたより大きくて、びっくりした。
「彼氏の教室で寝るとか、ほんとに島田が好きなんだね、川崎は」
「……」
私は何も答えられなかった。
頭の中にまた彼の姿が浮かんで、ちょっと泣き止んでたのにまた涙が出そうになる。
「別に…っ、良いじゃん…っ」
声が震えて、吐いた息が熱くなった。
綾瀬君が少し驚いた顔をした。
「…川崎」
「なに」
私は震える声で応える。
少し返し方が冷たいかななんて考える余裕もない。