生神さまっ!
「アマテラス様の命と、春の生神の命…

天秤にかけたら、ということか…!」




冬斗が悔しそうに、言葉を1つ1つ吐き出した。



…やっぱり、私達が直接探すしかない。



「…行こう、2人共!」



「ちょっと待ちなさい」



凛とした、美しい声。

鈴の音のように、聞き惚れてしまうほど儚く可憐なその声は、あの人しか出せないものだった。




「…みんな、焦りすぎですよ」



「アマテラス様…焦るに決まってるじゃないですか…!」




琥珀色の瞳が、私に向けられる。



アマテラス様の白い顔は、ゆっくりと左右に触れた。




「きっとあなた達はこのまま、スサノオ一派の1人…春の神になろうとしている卑弥呼と戦うことになります」



「…分かってます、ですが…!」



「冬斗。あなたらしくないですよ、冷静さを欠けるなんて」




アマテラス様の言葉に、冬斗は黙り込む。



その様子を見たアマテラス様は、少し小さなため息をついた。




「春乃が心配なのは分かります…ですが、彼女はもう卑弥呼の罠にはまってしまいました…

手遅れです」



「…じゃ、黙ってろって言うワケ?」



はっと笑う夏樹に「違います」と答えるアマテラス様。



「出発を急ぐことはありません…あなた達は1度、眠りなさい」



「ですがアマテラス様、春乃が…!」



「大丈夫です」



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