生神さまっ!
…………えっとぉ、




いきなり!!?






「…秋奈。あなたの言いたいことは分かります。
ただ、一刻も早く季節を戻さなければいけません。

もう5月…春もそろそろ終わりに近付いてます。


あなた達が次目指すべき"夏"は、もう目の前なのですよ」



「…はい」




うう、すいません。変なこと思っちゃって。

だって、いきなりだったもんだから…うん、言い訳ですけど。




「…なので、今から儀式を始めます。

…と言っても、本当の"春"が蘇るのは、全ての季節が揃ったらと言って良いでしょう。


つまり、今から取り戻す春は…
今よりは遥かに"春"ですが、本物の春に比べれば、劣っている"春"です」





…難しいけど、つまり、本当の春が取り戻せるのは…冬の玉も取り戻してから、ってこと?

なかなか長い道のりだ。

でも、今春が取り戻せることは、とっても喜ばしいことだもんね!




「…佐保、来なさい」





「………はい」






…その名前に、私は思わず背筋が伸びた。

だって…佐保、って。



襖が横にスライドして…たっくさんのお付きの人と共に…



春乃が着ている着物と同じ色合いの、美しい着物を着た、肩までの真っ青な髪を揺らした女の人が…入ってきた。




「お久しぶりですね、アマテラス」



「ええ…ごめんなさいね、本当」



「いいのよ、あなたが私達にためにと思ってやってくれたことじゃない。

…竜田は怒っていたけれど、ね」




「あら、やっぱり」








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