生神さまっ!
私が2人のその強さに驚いている間にも…儀式のようなものは、始まろうとしていた。





なにを言っているのか聞き取れないような言葉をつらつらと並べて言うアマテラス様。
その言葉を言っていくにつれ、置かれた春の玉がどんどん光を帯び出す。



アマテラス様は目を閉じ、さっきと変わらぬ様子でまた言葉を紡ぐ。

…そしてそれは、一瞬だった。



タイミングなんて、私には分からなかったぐらいに。



まるで打ち合わせでもしてたかのように。





同時に、春乃と佐保姫様は春の玉に手を置いた。





「ゔっ…くっ……!」
「ゔ、あ……くぁ…!!」




低いうめき声のようなものを出す2人の眉間には皺がよっている。


…やっぱり、苦しいんだ。
きっと離せば…春の玉から手を離せば、2人は解放される。



"痛み"からも、
"春の神"という肩書きからも。





けど、絶対に、
2人は離そうとしなかった。





「……終わりました」




アマテラス様のその声が聞こえた刹那
2人は肩の力が抜けたのか、どたん、と床に倒れこんだ。



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