生神さまっ!
それってズルくないですか。

私はじと、っと夏樹を睨む。


そんな私を見て夏樹は「睨んでるつもりかよ?」と鼻で笑って言った。




…なんか、悔しい。
悔しいから、


「別にー」


と嘘をつく。



「…ま、それは置いといてさ。

どうしたんだよ、走って春乃の部屋から出てきて?」




…聞かれることは、分かってたけど。
結局答えが見つからないまま、私は黙っていた。




「……なぁ、秋奈」




ゾク、とするほど…いつもの夏樹の声と違う、低い声が、私の耳に届く。

バッチリ目があってしまい、逸らそうとしたけど…ガッシリと夏樹の両手が私の顔のほおのあたりを抑えてるせいで、ピクリとも動かない。




「…教えてくれねえ?

…どうして秋奈はさ、ココに来たんだよ?」




さっきまで春乃とずっと話していた話題。


けど、なんで…夏樹は、こんなにも…鋭い目をしているんだろう。
うっすらと赤い目は、綺麗…だけど、とても残酷な感じがする。

ふと、卑弥呼を…私が倒してしまった時のことを思い出す。





辺りに広がる赤い血の色…それを見て、私は……





「…やっぱり」



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