生神さまっ!
夏樹の言葉で、我に返る。



ずっと目を合わせていたはずなのに…夏樹の目が、やっと見えていた気がした。

うっすら赤い?



…いいや、今の夏樹の目は。




瞳孔がなぜか少し開いていて、そこは真っ黒。
けど…虹彩の部分は。


血の色のように…赤を通り越して、赤黒かった。




「…やっぱり、」




夏樹の"素顔"が
やっと見れた気がした。




「…秋奈は3人の中で、


1番、



"俺"に、近い」





笑顔を失っていた夏樹の顔。

けど、突然口元をふっと緩ませ、わずかに曲線を描いた。




…この、笑みなんだ、きっと。




きっと…この、儚げで、苦しそうで、悲しそうで、


殺意のような恐ろしい感情を持ち合わせているこの笑みが…




夏樹の、本当の笑顔なんだ。






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