生神さまっ!
「…ってぇ~!!

なっにすんだよ…


冬斗…!!」





後ろを振り向けば…

肩で息をする、冬斗。




黒い虹彩は、さっきより薄い赤の虹彩を持つ夏樹を鋭くにらんでいる。





「お楽しみの最中だったら悪いけど…
…秋奈は、お前には渡さないよ、夏樹」






「…王子様気取りか?」





「勘違いするな、俺は、

お前が王子だとしても…秋奈を奪いに来るよ」






私は腕を引っ張られ、無理矢理冬斗に立たされる。




「わっ!」と思わず声を上げても、冬斗はガン無視。




そのまま私を廊下に出し、隣の隣の部屋…つまり、今度は冬斗の部屋に入ってしまう。





…いつになったら私は自分の部屋に行けるのよ。

…頭が混乱してるから、1人で落ち着きたい…


けど、あの状況を救ってくれた冬斗には感謝しかない。





冬斗の部屋に入って座り込んでしまった私に背を向けて立つ冬斗に、ありがとう、と言おうと口を開く。


…けど、冬斗の方が早かった。





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