生神さまっ!
もしかしなくても…未だ勘違いしてらっしゃる!?





「あ、いや、ホントに違うんです!」




「…半分脱いでるような秋奈と、ちょっと色気を出してる夏樹のあんなところ見たら…


………そう思うに決まってるじゃん」




…もし私が冬斗の立場に立ってたとしても、そう思う。


けど、断じて違うんだって!




「私の着物がちょーっと乱れてたのは、春乃に部屋で乱れちゃったから!

まあ色々あって夏樹の部屋に入っちゃって!そして…」




…キス、された。



その言葉が言えなくて、思わず俯く。




「…秋奈」


「は、はい!!」



沈黙を破った冬斗は、いつの間にかこちらを向いて私の目の前に座っていた。

…夏樹とはまた違うカッコよさ。


黒い髪に黒い目。

誰もが認めるイケメンなのは、冬斗も変わりない。



…でも、どうしてだろう。

冬斗を、私…見たことがある、気がする。



前から思ってた。

…懐かしさみたいなのを感じるな、って…



「…ごめん」



そう言った冬斗の顔が、私に近付いて来た。

あ、と気付いた時には、時すでに遅し。



私の唇が、冬斗の唇と重なっていた。




頭がショートする。ただ"自分の現状"が、飲み込めなくて。


目を見開いたまま、私はただただ動けなかった。




そして…どのくらいの時間がたったか。

きっと10秒ぐらいだったんだろうけど、私にとっては長い時間だった。



すっと離れていく冬斗の顔。相変わらず、私は動けない。



「…悔しかったから」



「…なにが『悔しかったから』ですか!!

え、あ、え…?ま、待って、頭追いつかない…!」




立て続けに2回もキスしちゃったよ?しかも別人!



「…私、最低だ……」



「いいんじゃないの、最低で」



「良くないです!

え、なに、どうしたの2人共!?夏樹が第一キスするから!人のせいにしちゃいけないけど!」




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