生神さまっ!
夏樹に連れられるがまま…屋敷の外に出る。





…そこはもう、戦場と化していた。







「…いつの、間に…!!」





屋敷の前の広い広い土地いっぱいに、黒いうごめく魔物達。

辺りに飛ぶ、血。



卑弥呼の時と同じような。




「秋奈、危ない!!」



私の後ろで…どん、と何かが倒れる音がした。

振り向くと、血を流している魔物。

目の前には、肩で息をする夏樹。




「ごめ…ん」



「…大丈夫、俺は、怖くないんだよね」




…それ、どうゆう意味?
そう聞こうとしたけど、聞ける状況じゃなく、開きかけた口を閉じた。




「ほら、秋奈も…まだ術は扱えないっけ?」




「うん…卑弥呼の時と、その前の2回だけ」




「じゃあ教える、今。

手を少し前に出して、体の中の奥の熱を、手の先に持っていくようにして。

それで、イメージする。
目の前の敵に、術が当たるのを」



そんなことを言ってる間に、1人の魔物が私の方に向かって剣を振り上げやって来た。




「ほら、やって!!」


「え、あ…もう!!」



手を前に出して…体の奥の熱を、手に持ってく…そして、イメージ。




すると手から…光のようなものが、一瞬見えた。

そう思ったら、赤い"何か"が生まれて…


目の前に迫っていた魔物の体に所々傷を付けていく。



黒いものに覆われている魔物の体には、私が付けたとおぼしき傷…

どさ、と倒れた魔物。




「…あっけ、ない…」



「魔物は数は多いだけで、意外に少しのダメージを加えられれば死ぬんだ。

ま…秋奈はあっけないと思ってるかもしれないけど、


…意外に攻撃力が強い術を使ってたこと、わかってる?」







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