生神さまっ!
「じゃあ…冬斗の場合、人間界に戻るという選択はできないの…?」


「そうゆうわけではありませんよ。

ただ、あなたたちと違い…全て、ゼロからのスタートになります。
あなたたちはここに来る前のある程度の記憶は持ったままでスタートだけれど、冬斗がもし戻りたいと選択した場合…私たちによって都合よく作られた記憶を持たせてのスタートになる。


さっき、あなたたちのここでの記憶をすべて消すといいましたが、少し訂正しましょう。

あなたたちは天界という概念が消えるだけであって、あなたたち同士の記憶を消すつもりはありません。どこかで出会った、どこかで話したことがある。そんな本能に植え付けられたものが残るはずです。

けど、冬斗は何もありません。
あなたたちが冬斗と出会っても、冬斗はあなたたちのことをかけらも思い出してはいないでしょう」


「…それほど冬斗は…人生をやり直したかったってことか」


「やり直したい、というよりは、なかったことにしたかった。

そんな思いが強かったのでしょうね」


冬斗の願い。そして突然告げられた、私たちの”今後”

「…アマテラス様。冬斗はきっと、自分を捧げようとしている。

アマテラス様の管轄外に出て、邪魔もないところで…

冬斗の意図は、何なのでしょうか」


「…まだ、私の力が及ぶぎりぎりの範囲に黒姫と冬斗の力を感じます。
今ならまだ、間に合うでしょう。


…冬斗の意図、ですか。
多分ですけど…冬斗は、自分の存在を憎んでいるのでしょうね」


「…自分を…?」


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