生神さまっ!
しん…と辺りが静まった。

今からでも…遅くない?

私たちは自然と黒姫様を見ていた。

黒姫様はただ黙り、冬夜を見つめ返していた。


「中から見てて分かったよ。
一番冬斗を諦めきれなかったのはほかでもない、黒姫、お前だよね」


「…なぜ、そうおもう」


顔色一つ変えない黒姫様と、不敵な笑みを浮かべる冬夜。


「分かるさ。お前はちょくちょく冬夜と連絡を取っていたし、なにより真面目と定評のあるお前が簡単にアマテラス様とかいうやのところを抵抗なく抜け出した。
そして一番は、それだよ」

冬夜はゆっくりと腕を上げ…黒姫様が持つ、水晶玉をさした。


「…なぜ、まだ捧げない」


黒姫様は…ふっと、思わずといった様子で笑みをこぼした。


「…ふん。数年間何もしていないと思ったら。
あいつに似て、聡明とはな」

「残念ながら、あいつが僕に似て聡明なんだよ」



ははは、と少し笑った黒姫様は、水晶玉を前に掲げた。


「お前の言うとおりだ…私は冬斗を実の子のように扱ってきた。

単刀直入に言おう。私は、お前と話し合いたかったのだ」


「…おれだって、出るつもりはなかったさ。
でもなんでかな、ふっと突然出てしまった。

多分秋奈、お前が持つ石に引っ張られた」


この石が…
やっぱりアマテラス様ってすごいんだな。うん。

てゆーか…二人の言い方からして、もしかしてだけど…
冬斗は…まだ、存在している…?

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