生神さまっ!
夏樹はニコッと笑って「ご名答」と答える。




その顔は相変わらずカッコよくて、いくら恋愛感情がナイにしてもドキッとする。




「秋は白。そう決まってるんだよな、昔から。

基本的に…大体の場合は、だけど。

術を天界で初めて使った時に、姿形が変化するんだ」



ちょっと夏樹の言い回しが気になりながらも、相槌を打つ。



なるほど。つまり私は術を初めて天界で使ったから…





「…天界で使ったから…?

え?わ、私もしかして……」




夏樹はまたにやりと笑って「ご名答」と言った。




「秋奈は、あの卑弥呼相手に術を使ったわけですわ」



「…い、いやいや…あ、でもなんかちょっと覚えてる…」



「だろ?

楓の一斉攻撃。綺麗な楓に見惚れてる間に、その鋭利な1枚1枚の葉にぐさり、やられる…


結構残酷な術かもなー」




ぶるる、と反射的に身震いをする。



だって…私、人を殺す術を得たんでしょ?







・・
また、
・・・・・・・・・・
人を殺すかもしれない。








この、私の手で。







震えを無理矢理抑え込むように、ぎゅっと右手で左腕をおさえる。




「秋奈…


これからは、その術を使っていかなきゃいけないんだよ」




夏樹の声がいやに頭に響く。



分かってる。



分かってるんだけど……





「ねえ、秋奈…俺に教えてよ。

なんで秋奈は…あり得ないと思ったこの世界に身を投じようと思ったんだ?」




探るような夏樹の声に、麻痺したように感覚がない口元を動かす。




「私、は……」




「そこらへんにしとけ、夏樹」








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