助けてほしいと願う【短編】
自分勝手な願だってことは
自分なりに分かっていた。


でも誰かに気づいてもらいたくて
誰かに助けてもらいたくて
仕方なかったんだ。


自分の気持ちなんて
誰にも言わないで。


ただ助けて、気づいて
そう願う気持ちだけを
心の中で叫んで。


心の中でしか叫ぶことしか
私にはできなかったんだ。

私は、いつの間にか
先生にも、友達にも、
彼氏にも、家族にでさえも
本当の自分の気持ちを
言わなかった。

心の中を見せなかった。

ううん。

言わなかったんじゃない。
見せなかったんじゃない。

言えなかったんだ。
見せれなかったんだ。

私はいつの間にか
本心を言えずに
心に鍵をかけてしまったんだ。




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