腹黒司書の甘い誘惑
今までの距離とは違うのを実感して、思わず頬が緩んでしまいそうになる。

「倉橋さんって、すぐ顔にでちゃうんだね」と、図書館を出るときに笹本先生に言われたので、もうとっくに頬は緩んでいたのかもしれない。


三人で訪れたのは、駅前の和食店。

近くのコインパーキングに柊也さんと笹本先生は車を停め、路地を歩いていくと飲食店が並んでいて、入ったお店は和風な外装をしていた。

硬い感じはなく、仕事帰りの会社員の女性と男性や、大学生のような若いグループなどもいて、お値段についても庶民的なところだ。

テーブル席に柊也さんとわたしが隣同士で座り、向かいに笹本先生が座った。

「ここのカツ丼めちゃくちゃ美味いんだよ」

「蕎麦とうどんも美味しかった」

笹本先生と柊也さんは何度か来ているらしく、わたしにおすすめのメニューを教えてくれた。

温かいお茶が運ばれてきて、わたしは海老の天ぷらうどん、柊也さんはお蕎麦、笹本先生はカツ丼をオーダーした。
< 126 / 201 >

この作品をシェア

pagetop