腹黒司書の甘い誘惑
「その気になってくれた?」

「うん……」

最初からそういう気はあったのに、恥ずかしいからって何ともない感じを装ってしまったから焦らされることになってしまったのだ。

「柊也さんって、本当に意地悪ですよね。からかうし、馬鹿にしてくるし、腹黒だし……けど、そんな柊也さんに惹かれちゃうんです。こわいくらい」

そう言ったら、柊也さんがわたしの腰をさらに引き寄せた。

「君を見ているとつい意地悪をしたくなる」

いたずらっぽく笑う柊也さんは、わたしの耳に軽く歯を立てた。

これもやはりぞくぞくして、震えてしまった。

すると柊也さんが面白がるような声を出す。

「もしかして、こういうの好き?」

「ち、違いますよ!」

焦ったわたしは体を離して首を横に振る。
噛まれるのが好きだなんて、恥ずかしい誤解をされたくない……!

しかし、これはいじわるな柊也さんがわたしをからかうためのものだったらしい。

目を細めて唇の端を上げた柊也さんはわたしの頬を指で撫でる。

「どんなことでも君の趣味なら俺はいくらでも付き合うけど」

当然、わたしの頭の中で色々な想像が膨れ上がってプシューと湯気が出そう。

「なんてね。今日のところは冗談だ」

柊也さんはいたずらな笑みをわたしに見せる。
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