腹黒司書の甘い誘惑
柊也さんが何か悩んでいるなら助けてあげたい。
けど、彼に聞いてもはぐらかされて終わりそうな気がする。

お節介だと自分でもよくわかっているのだけど……。じっとしていられなかった。

わたしが感じていることと柊也さんの考え事が一致しているのかはわからないけれど。


「日曜日の午後、買い物に行きませんか?」

気になりはじめてから一週間がたったとき。

週末を過ごしていた柊也さんの部屋で夕食を終えたあと、ソファーに座っている彼の隣に笑顔で寄った。

「いいけど。何を買うの?」

柊也さんはわたしに顔を向けて首を傾ける。

「えっと、ちょっとしたもの……なんですけど」

嘘をついたり隠したりするのが苦手なわたしは、前髪を触りながらたどたどしく言った。

「ふうん」

柊也さんはじっとわたしを見る。

まずい。何かあるって思っている顔をしている。

わたしは柊也さんから視線をそらし、普通に見えるよう振る舞った。
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