腹黒司書の甘い誘惑
瞬きを数回して理乃の手元を見たあと、視線を戻す。
彼女は微笑んだ。

「大したものじゃないんだけど……」

はにかみながらそう言った理乃に頬が緩んで、「ありがとう」とプレゼントを受け取った。

「開けていいか?」

「どうぞ」

包装紙に有名ブランドのロゴが入っている。
はがして箱のフタを開けると、中には紺のマフラーが入っていた。

「色々迷ったんだけど、今年の冬は寒いらしいから。これで柊也さんが少しでも暖かくなりますように」

照れながらそう言った理乃を見て、俺はふっと笑って俯いた。

どうしたらいい? 愛しくて堪らないんだよ。

「……柊也さん? あれ、気に入らなかった?」

「いや、嬉しくて悩ましい」

「え!?」

「大事に使うから」

そう言ってプレゼントを横に置いた俺は、理乃を抱きしめた。
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