腹黒司書の甘い誘惑
冷たい空気が頬にあたると、胸がきゅっとなって大好きな人に会いたくなる――


仕事帰り。
柊也さんの誕生日ケーキを買った駅前のケーキ屋さんで、わたしは一週間後に迫るクリスマスのケーキを予約した。

柊也さんとクリスマスを過ごすのは今年で二回目。
去年のクリスマスは柊也さんがレストランを予約してくれて、綺麗な夜景を眺めながらディナーを楽しんだ。

今年はわたしも何か用意したいなと思って。

たぶん、柊也さんが食事をするお店を予約してくれる。
そこで食事をしたら、帰るときにわたしが柊也さんの車の中で「実は……」って、ケーキを予約していることを伝えて、二人でケーキを取りに行って、柊也さんの部屋に帰るの。

それで二人でケーキを食べる。あ……、誕生日にもケーキを食べたのに、また同じ月にケーキかと柊也さんは呆れた顔をするだろうか。

わたしは平気だけど、柊也さんはそこまで甘いもの食べないし……。

でもクリスマスケーキ食べたいから、いいよね?

ふふ、と少しだけ頬を緩めたわたしは、浮かれ気分でお店を後にした。
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