腹黒司書の甘い誘惑
急に不安になって、手汗をかいたわたしは立ち上がって冷蔵庫に向かい、落ち着くためにペットボトルの冷たいお茶を飲んだ。

だけど、一度考えだしたら止まらないわたしの胸は、どんどん拭えない不安にのみこまれていく。

浮気、とか。二股、とか。
そういう負でしかない言葉が頭の中でぐるぐるする。

今すぐ柊也さんに確認したくなった。
けど、先程の電話で気まずさのあるわたしは、どうしようかとスマートフォンを見つめる。

わたしがあんな電話の切り方をしたのに、彼の方は掛け直そうとも思わないのか。

どうでもいいと思われているのかと悲しくなった。

楽しみにしていたクリスマス。

スマートフォンを握りしめて、夜中まで眠ることができなかった――
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