腹黒司書の甘い誘惑
美鈴さんに手伝ってもらい、本の入った段ボールを台車にのせる。
そして事務室を出て、図書館へと向かった。
迷わないか心配。
豊子さんが中庭に出ればすぐ見えると言っていたけど。
生徒は一時間目の授業中なので校舎の廊下は静か。そこをガラガラと台車を押しながら歩いていく。
すると、中央階段のところからグレーのスーツを着た男性が出てきた。
――理事長!
わたしは立ち止まって背筋を伸ばした。緊張で脈が速くなっていく。
理事長の滝城 琉真《たきしろ りゅうま》さんは、まだ35歳という若さ。二年前に父親である先代の理事長の後を継いだらしい。
背が高くて、すごく整った顔立ちをしていて。ひとつひとつの仕草がしなやかで、品があって、優しい雰囲気の男性だ。
「おはようございます!」
そばまで来たとき、わたしは軽く頭を下げながら挨拶をした。
「おはよう」
とても穏やかで優しいトーンの声に、理事長の優雅さが出ている。
ちらりと視線を向けたら微笑まれて、その表情があまりにも綺麗すぎると思った。
そして事務室を出て、図書館へと向かった。
迷わないか心配。
豊子さんが中庭に出ればすぐ見えると言っていたけど。
生徒は一時間目の授業中なので校舎の廊下は静か。そこをガラガラと台車を押しながら歩いていく。
すると、中央階段のところからグレーのスーツを着た男性が出てきた。
――理事長!
わたしは立ち止まって背筋を伸ばした。緊張で脈が速くなっていく。
理事長の滝城 琉真《たきしろ りゅうま》さんは、まだ35歳という若さ。二年前に父親である先代の理事長の後を継いだらしい。
背が高くて、すごく整った顔立ちをしていて。ひとつひとつの仕草がしなやかで、品があって、優しい雰囲気の男性だ。
「おはようございます!」
そばまで来たとき、わたしは軽く頭を下げながら挨拶をした。
「おはよう」
とても穏やかで優しいトーンの声に、理事長の優雅さが出ている。
ちらりと視線を向けたら微笑まれて、その表情があまりにも綺麗すぎると思った。