腹黒司書の甘い誘惑
すごく興味があった。
柊也さんが紙芝居をしている姿を見てみたいと思っている。

柊也さんは眉根を寄せて明らかに困っていた。

「どんな感じかを俺に説明させるの?」

「そうですね……説明が面倒だったら実際に見せてもらっても……」

「なに、見たいわけ?」

「はい、見れるなら見たいです」

「…………」

険しい顔をした柊也さんだけれど、はあ、とため息を吐いた。

「まったく……。いいよ、見ても。口止めも必要だし。……いいか、この事は誰にも言うな。それが条件」

柊也さんは不機嫌な声でそう言うと、わたしに鋭い視線を向けた。

わたしはすぐに頷く。

すると柊也さんは眉の力を解いた。

「君は妙に押しの強いところがあるんだな」

「えっ、そうですか?」

「無自覚か」

柊也さんは呆れたように言うと、紙芝居のケースを手に持った。

「ついてきて」

目尻でわたしを見たあと、出入り口へ歩いていく。

わたしは言われた通りそれについていった。
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