腹黒司書の甘い誘惑
一通り子供たちと話をした柊也さんは紙芝居を片付けはじめた。

わたしは彼の元へ歩いてそばにいく。
顔を上げた柊也さんはそっけない声をだした。

「片付け手伝って」

先程までの優しい感じがウソのよう。
口を少し尖らせたわたしは「はい」と返事をしておとなしく片付けを手伝った。

横にいる柊也さんをちらちらと気にして見ていると、ぱちりと目が合ってしまった。

「なに」

「いえ、なんでもないです……」

キツい瞳で見られたので、わたしは視線をそらした。

ケースへまとめた紙芝居の絵をわたしに持たせ、「帰っちゃうのぉ?」と聞いてくる子供たちを宥めた柊也さんは、最後に川谷さんの元へ向かった。

「では、僕たち帰ります」

また態度が違うよ、と横目で柊也さんを見た。

「滝城さん、いつもありがとうございます」

「いいえ。やりたくてやっているので。それでは、また」

穏やかな笑みを作ってお辞儀をした柊也さん。
わたしも続いて礼をした。
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