腹黒司書の甘い誘惑
「いやいや、恋愛なんてそんな……」

「ええ、教えてよー。理乃ちゃんのそういう話聞きたいし。ね? 豊子さん」

美鈴さんはにこにこしながら豊子さんに同意を求めた。

「そうねえ。若い子の恋の話って聞いてると昔の自分を思い出して楽しいわよね。いいわねえ……理乃ちゃんのお相手は柊也くんでしょう?」

「えっ!?」

当たり前のように言われて、わたしは動揺した声を出してしまった。

豊子さんはわたしに柔らかな微笑みを送る。

「もう豊子さんっ。徐々に聞き出そうと思ってたのに!」

「あら、そうだったの?」

にやにやしながらがっかりする美鈴さんと、あらあらと困りながら笑う豊子さん。

ちょっ、ちょっと待って。

「な、なんで柊也さんが出てくるんですか!?」

「え? だって、理乃ちゃんは柊也くんといい感じでしょう?」

「いい感じ……!?」

美鈴さんも当たり前のように言うので、わたしは勢いよく聞き返していた。

「ここ数週間、図書館に通う理乃ちゃんを豊子さんもわたしもほのぼのした気持ちで見ていたのよ。二人はお互い気があるんだろうと思ってたから」

美鈴さんはにこやかすぎる笑顔で話す。
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