腹黒司書の甘い誘惑
そして当たり前のように柊也さんの車まで来てしまった。
気づいたわたしの足が止まると「乗りなよ」と、柊也さんはこちらを見ないで運転席のドアを開けながら言った。
彼のこういうところ、凄くくすぐったくなる。
わたしは「ありがとうございます」と、車に乗り込む柊也さんの背中に向かって言ったあと、小走りをして助手席のドアを開けて乗った。
わたしが乗ったあと、運転席で柊也さんは溜め息を吐く。
「今日みたいに行きが遅くならないように次回は気をつけてくれよ」
「はい、すみませんでした。今日は外へ出たときに理事長と少し話をしてしまったから……」
先程の『好き』についての会話での羞恥や、くすぐったい気持ちを引きずっていたわたしは注意力を無くしていた。
膝の上に置いた手を見つめながら「しまった」とわたしは思った。
理事長の話は出さないようにしていたのに。
「兄さんと話をしてたのか」
柊也さんの声が急に冷たくなった。空気もぴりっとしたように思う。
気づいたわたしの足が止まると「乗りなよ」と、柊也さんはこちらを見ないで運転席のドアを開けながら言った。
彼のこういうところ、凄くくすぐったくなる。
わたしは「ありがとうございます」と、車に乗り込む柊也さんの背中に向かって言ったあと、小走りをして助手席のドアを開けて乗った。
わたしが乗ったあと、運転席で柊也さんは溜め息を吐く。
「今日みたいに行きが遅くならないように次回は気をつけてくれよ」
「はい、すみませんでした。今日は外へ出たときに理事長と少し話をしてしまったから……」
先程の『好き』についての会話での羞恥や、くすぐったい気持ちを引きずっていたわたしは注意力を無くしていた。
膝の上に置いた手を見つめながら「しまった」とわたしは思った。
理事長の話は出さないようにしていたのに。
「兄さんと話をしてたのか」
柊也さんの声が急に冷たくなった。空気もぴりっとしたように思う。