腹黒司書の甘い誘惑
4.触れたいと思った
***
「おーい、理乃ちゃん?」
「……へ?」
「お昼休みよ。ぼうっとして、ご飯食べないの?」
「え、あっ、食べます食べます」
どうしたのかと首を傾けてこちらを見てくる美鈴さんに、わたしは曖昧に笑ってデスクから立ち上がった。
あれから一週間。ずっと気持ちが曇ったまま、もやもやしている。
「自販機で飲み物買ってきますね」
「うん、いってらっしゃい」
微笑んでいる美鈴さんからドアに視線を移し、歩き出して事務室を出るとわたしは大きな溜め息を吐いた。
気分はどんどん落ちていくばかり。
柊也さんとは機会がないから会っていない。
来週保育園に行くだろうけど、もうわたしには声をかけないと思う。
柊也さんは理事長とのことを他人にどうこう言われたくないと思っていたのだろう。
踏み込まれたくない部分を荒らしてしまったのはわたしだ。
何でも話す親しい間柄でもない、ただの他人なのに。
だけど……関係ないって撥ね付けられたことに相当なショックを受けている自分がいる。
それはわたしが柊也さんに特別な感情をもっているからだろうな。
「おーい、理乃ちゃん?」
「……へ?」
「お昼休みよ。ぼうっとして、ご飯食べないの?」
「え、あっ、食べます食べます」
どうしたのかと首を傾けてこちらを見てくる美鈴さんに、わたしは曖昧に笑ってデスクから立ち上がった。
あれから一週間。ずっと気持ちが曇ったまま、もやもやしている。
「自販機で飲み物買ってきますね」
「うん、いってらっしゃい」
微笑んでいる美鈴さんからドアに視線を移し、歩き出して事務室を出るとわたしは大きな溜め息を吐いた。
気分はどんどん落ちていくばかり。
柊也さんとは機会がないから会っていない。
来週保育園に行くだろうけど、もうわたしには声をかけないと思う。
柊也さんは理事長とのことを他人にどうこう言われたくないと思っていたのだろう。
踏み込まれたくない部分を荒らしてしまったのはわたしだ。
何でも話す親しい間柄でもない、ただの他人なのに。
だけど……関係ないって撥ね付けられたことに相当なショックを受けている自分がいる。
それはわたしが柊也さんに特別な感情をもっているからだろうな。