腹黒司書の甘い誘惑
廊下を進み、昇降口のそばにある自販機の前までくると、そのままなんとなく足が中庭の方へと向かった。

校舎から外の通路まで出て立ち止まる。

奥に見える図書館を見つめながら、胸が苦しくなった。


冷たい瞳でわたしを見ながら「嫌いだ」と言った柊也さんのことを思いだす。

一週間、彼に会いに行く勇気が持てなかった。
しかし本当にこのままでいいのかと、図書館を見つめながら考える。

わたしが会いにいったら、冷やかな対応をされるだろうな。
だけどこのままの気持ちでいるのも堪えられないと思った。

わたしは視線を落とし、校舎へと戻る。
自販機でミルクティーを買い、事務室に戻って昼食をとった。

その間も自分の気持ちをどうするか、ぼうっと考えていた。


どうせ嫌われるなら、すっきりさせたい。
柊也さんに会って話をしよう。

そう決心したわたしは、仕事を終わらせたあと図書館へ向かった。

入り口の前で深く息を吐く。
張りつめた心の所為でドアを掴む手が震えた。
< 94 / 201 >

この作品をシェア

pagetop