目があうたんび
ガラッ





「ハァ。すみませんっ!遅れて…あの、テストって?」


ドッと教室が笑いで包まれる。なんか、した?



今日、自習かよ!黒板に大きな字で自習と書いてあった。



「なこ!おはよ〜」


「琴葉ぁ!今日、テストないんだね!」


「あ!聞いてよ。昨日ね例のイケメン王子様と喋ったんだよ‼︎」


「あー。え?!」


琴葉の目が大きく見開く。


「勉強まで教えてもらっちゃった!でも、今日テストないんだねぇ…がっくし」



昨日あったことを細かく説明した。



「でかした!なこ!一歩進んだじゃん‼︎前に、好きになった人は正直どうかと思ったけど。あの王子だったらいけるって!」


自分のことのように喜んでくれる琴葉はあたしの自慢の親友なんだ。


「あの王子って彼女いんのかな?」


「やだよ‼︎そんなの!あたしまた失恋じゃん!」


「なこ〜。あんたいっつも自分からアプローチしてないじゃん。」


「だからそれはそのぉ…」


「聞いてみなよ。同じ駅なんだったらまた会うでしょ〜」


「でも、あんなイケメンに彼女いないわけないじゃんっ!あたしみたいな普通の子がアプローチしても絶対嬉しくないって…」


「へぇ〜。なこってそういう人だったんだ。なんか、がっかりだなぁ〜」


「ウッ。分かったよ!聞けばいいんでしょ!」


「そうです〜!あと、あんた自信持ちなさいよ!なこは明るいし愛嬌あるんだから。かなり、イケてる方だと思うよ。お世辞じゃなくってね〜」


「あたしがイケてる?!」


「やっぱり。言わなかったらよかった。なんで、調子にのっちゃうんかなぁ?」


「ご、ごめん」


「それより、もう少しオシャレしたら?メイクとかさ〜」


「む!無理無理!あたしがメイクなんかしたら変だよ」


「いい?努力なしでは恋は実らないのっ!」

「は、はぃ」

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