あるワケないじゃん、そんな恋。
ちゃんちゃらオカシイ
本屋の棚に並んだ背表紙を見ながら、私は首を捻っていた。
(御曹司との恋?社長室で密会?課長とのラブストーリー?……)
「……わからん」
右脇に挟んだ埃除けの叩きを平積みの本の上に置く。
背表紙に書かれてあるタイトルを頼りに、一冊の本を抜き取った。
ペラッと捲った1ページ目から始まるエッチシーンに、思わずパン!と本を閉じる。
「無いわ。これは……」
文庫本を棚に戻しながら、他のも同じかな…と思う。
「いやいや、そんな筈はない。きっと…」
スッと別の本を手に取り読みだす。
眉間にシワを寄せて読んでいる私の姿は、周りから見るとあまりにも滑稽だったらしい。
「菅野(かんの)何やってんだよ⁉︎ 」
黒いエプロンを埃まみれにした同僚の羽田(はた)がやって来た。
「んーー?読書」
「そんなの見りゃ分かるよ。俺は何を読んでんだ?って聞きたいの!」
叩きをエプロンのポケットに突っ込み、私の読んでいる本のタイトルを読み上げた。
「『イケメン御曹司と甘い約束』?何だこれ。恋愛ものか?」
「うん…そうみたい…」
生返事をしながら、必死で文章を目で追う。
どうにも解せない私は、やはり最初の数ページで本を閉じた。
「やっぱりダメ。意味わからん」
本を棚に戻しながらの呟き。
棚に並んだ本を見ながら、一体何が?と羽田は聞いた。
(御曹司との恋?社長室で密会?課長とのラブストーリー?……)
「……わからん」
右脇に挟んだ埃除けの叩きを平積みの本の上に置く。
背表紙に書かれてあるタイトルを頼りに、一冊の本を抜き取った。
ペラッと捲った1ページ目から始まるエッチシーンに、思わずパン!と本を閉じる。
「無いわ。これは……」
文庫本を棚に戻しながら、他のも同じかな…と思う。
「いやいや、そんな筈はない。きっと…」
スッと別の本を手に取り読みだす。
眉間にシワを寄せて読んでいる私の姿は、周りから見るとあまりにも滑稽だったらしい。
「菅野(かんの)何やってんだよ⁉︎ 」
黒いエプロンを埃まみれにした同僚の羽田(はた)がやって来た。
「んーー?読書」
「そんなの見りゃ分かるよ。俺は何を読んでんだ?って聞きたいの!」
叩きをエプロンのポケットに突っ込み、私の読んでいる本のタイトルを読み上げた。
「『イケメン御曹司と甘い約束』?何だこれ。恋愛ものか?」
「うん…そうみたい…」
生返事をしながら、必死で文章を目で追う。
どうにも解せない私は、やはり最初の数ページで本を閉じた。
「やっぱりダメ。意味わからん」
本を棚に戻しながらの呟き。
棚に並んだ本を見ながら、一体何が?と羽田は聞いた。
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