あるワケないじゃん、そんな恋。
店長やクマさん、バイト君の顔が思い浮かんだ。

何よりさっきからの羽田の態度がそうだと物語ってる。


赤い顔に逆ギレ。
照れたり怒ったりするってことは、図星って意味でしょう⁉︎


「私は…羽田の様子から判断しただけよ!そんな感情的になってるのも変だし、顔は真っ赤だし、誰がどう見ても皆が言うことがホントだって思うじゃん!」


痛っいなーと呟き混じりに額を撫でた。
眉間の少し上を触ると痛い。

さっきの勢いからして、間違いなく赤くなってると思う。


「あんな人前で童貞連呼されたら誰でもテレるだろ!しかもなったばかりとは言え、彼女の目の前でそれ言われたら余計でもだ!… 全員間に受けてる!俺が飛ばしたジョークを!」


「ジョーク?」


額に手をやったまま羽田を見た。
鼻の頭は赤いまま。顔の赤みは少しだけ冷めてた。


「クリスマス近いなぁって話から始まって、プレゼント何が欲しいか…に発展したんだ。皆、家族やら彼女がいるだろ?ウキウキしやがって羨ましかったから、軽くジョークっぽく言ってやったんだよ。『童貞捨てれる彼女欲しいなー』って」

「えっ……」


またしても照れ出す羽田。
どうやらマジで自分の嘘に照れてるみたいだ。


「そしたら思いの外ウケちゃって、クマさんも店長も皆して酒奢ってくれるもんだからジョークです…って言えなくなってさ」


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