あるワケないじゃん、そんな恋。
「羽田……」


受け止めたヤツの口から漏れた言葉。

この最近、ちっとも聞こうとしなかった声だ。

大人気ない悔しさが先立って、何だか許せない気もして。

でも………



(バカなこと言ったよ…)


こんなにも女子なのに、シカトみてーなことして。

恋愛処女なんだから甘え方も喜び方も知らねーんだって分かってたくせに。

話しかけるな…って言われたら、ホントにその通りにするどうしようもないヤツ。

どうしたらいいか分からん……って、観覧車の中であれ程困ってたじゃねーか。


男に対して不器用なんだよ。

素直になればいいだけなのに、難しく考え過ぎなんだ。



「菅野………好きだ……」


ほら、コレくらい簡単に口してみろよ。

それだけで俺が可愛がってやるから…………





「ーーーって何だよ!お前…!」



バッチリ目ぇ開けて見てんじゃねーよ!!

気ぃ失ってたんじゃねーのかよ!!


「いや、あの……一瞬、視界暗くなったけど……すぐに復活したって言うか……」


真っ赤な顔したまま言うなっ!

余計恥ずいわっ!!


「…ご、ごめんね……何度も受け止めさせて……」


耳まで真っ赤にするな!

こっちが照れるだろ!!


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