あるワケないじゃん、そんな恋。
「ーーー降りれんのかよ…」



声が柔らかくなった気がする。

赤い顔してるけど、それはきっと私が照れてるからで……。



「だ…大丈夫……」


指先震えてるよ。

こんな感じになったの、きっと初めてだ。




「あの……」


「んっ⁉︎ 」


あわわ!…さっきのお客様!!


……もしかして、ずっとそこにいましたぁぁ……⁉︎



「す、すみません。……私が本を取って下さい…とお願いしたばかりに……ごめんなさい。怪我してませんか?大丈夫ですか?」



「だ……」

「大丈夫ですよ!お客様。こいつは意外にもタフなんです!心配ご無用です!」


なぁ?…って、それフォローになってないし!



「う…うん…」


お客様の手前だから頷くしかないけどぉぉ。



「そうですかー。良かったぁ…」


ホッとしながら立ち去ってく。

その様子を眺めてる羽田の背中、久しぶりに近い場所にある。




「……お前、…もう脚立上るなっ!」


振り向いた途端、ガチャガチャと片付けだした。


またしても不機嫌に戻った…と思ったら………






「俺の心臓が幾つあっても足らんっ!」


ゴツン…!って額ぶつけられた。



この距離……すっごい久しぶり……。





「菅野がこの間言った言葉な……」



「…何よっ?」


おデコ離してニヤつかれた。

締まりのない顔だけど、ずっと見たかった……。




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