あるワケないじゃん、そんな恋。
始まったのはいいけどぉ……
そんなワケで飲みに誘ったのはいいんだけどぉ………


「あのね、寄ってこないでよっ!!」


いつもの立ち飲みバーでの会話。

今日のツマミはおかき入りの柿ピーとカマンベールチーズ。


「いーじぇねーか!寒いんだよっ!」


スキンヘッドに近い頭を露わにして言うな。

帽子どこやったのよ!


「…あのニット帽、芹那ちゃんにあげたの?」


「あ?ああ、あれな……」


意味深にニヤつかないでよ。
気になるじゃん。


「あの帽子、婆ちゃんが芹那や俺たち兄妹に編んだんだよ。だから皆お揃いで持ってるんだ。ちなみに俺のはこの間のイブの夜に失くした。お前のこと探すのでテンパってて、帽子が無くなったのも気づいてなかった…」


「何それ、だっさ〜〜!」


「しょうがねーだろ。あんだけ笑い飛ばしたんだから必死にもなるよ、悪いのはこっちだから……」


(ーーってか、そうか…。私、ホントに羽田に好かれてたんだ……)



「じゃあさ、私が帽子買ったげる!何なら編もうか?私の毛糸パンツとおそろいの色で!」


「ブッ…!!」


「きっちゃないな〜〜!吹かないでよ、もう〜〜!」


羽田に借りたミニタオルをポケットから取り出す。


「…ほら、これで拭けば?」


きちんと洗濯してるよ。
いつでもブーツと交換してもらえるように持ち歩いてただけだから。


「サンキュ…」


受け取った羽田は、何故か顔が真っ赤で……。



「笑い堪えてんの?」

「違うっ!」

「じゃあ何⁉︎ 」

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