あるワケないじゃん、そんな恋。
「ふぅ……」


大きな溜息出た。

やっと羽田のからかいから解放されて、自分の部屋に戻ってきたところ。



「キャン!キャン!」


「あ……ペソ、ただいま……」


頭や顔を撫で撫で。

気持ち良さそうに目を細めて、ペソはホントに可愛いなぁ…。


「私もペソみたいに甘えたいけど……」


どうも羽田の前だと素直になれない…と言うか、今までの付き合い方が『お友達』感覚だったせいでどうにも慣れなくて。


(また付き合いだしたのはいいけど……なんだか気が重いつーか……)


彼氏って立場の人が今までいなかったせいか、羽田の一言一言にあれこれと過敏な反応してしまう。

ようやくできた彼氏らしき人だけど、実感はまるで湧かなくて……。



「こんな事言ったら羽田はまた怒るよね……」



確かに好きなんだけど、何だかウキウキしてこない。

嬉しそうな羽田の様子を見て、気持ちだけは合わせようとしたいけど。


「初めては全部俺…」とか「これからが楽しみ…」とか言われるとドン引きしちゃって。


挙げ句の果てにはセカンドチューまでされちゃうし……。


(隙だらけなのかなぁ……私……)


過敏反応するばっかじゃなくて、もっと大人びた対応できないかなぁ。

教授本に出てくる先輩たちのように……。



(………無理だよね…)


「恋愛処女」はガキなんだって。

キスの一つや二つ…って、簡単に思えない。

< 133 / 209 >

この作品をシェア

pagetop