あるワケないじゃん、そんな恋。
こんなことで狼狽えてどうするよ。

羽田はこれからもいろいろ仕掛けてくる気だよ。

次の休みは一緒に出かけよう…って言ってたから……。



「イブのやり直ししようぜ。中途半端なまま終わったから」



観覧車の中で、「もっと一緒にいたい…」と言ったのは私だった。

ホントならあの時、羽田との距離が縮まる筈だったのに。


(ーーーこんな形ではなく……ね)


無意識で言った「好き」は、羽田にとっては有効なのかもしれないよ。
羽田に言われた「好きだ」と同じくらい、奴にとっては大事な言葉だったと思う。


でも、私ーーー



「きちんと伝えてないと思うんだよね。『羽田が好き』…って……」



なのに、「初めては全部俺」とか言われても、ただ羽田が焦ってるようにしか感じれなくて。
急にベタベタくっ付かれても、どんどん距離を置きたくなってしまう……。



「私……変なのかな…」


普通ならもっと喜ぶのかな。
好きな人からそう言われたらーーー。


「経験少な過ぎなの?私……」


羽田とどうこう…ってのも、付き合ってくうちにはアリなのかなと思ってたけど……


どうもそうじゃないらしい。

奴の頭の中にはきちんとした計画が立てられてて、私がそのレールに乗っかるのを待ってるだけのようだ。



(そんなの……うまく乗れる自信ないよ……)


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