あるワケないじゃん、そんな恋。
翌朝になっても気分はスッキリしない。
足と同じくらい重い気持ちを引きずったまま職場へと着いてしまった。


「お疲れ様でーす……」


昨日の修羅場を見てた店長とクマさんが、私のとこへ走り寄ってきた。



「おはよう!菅野ちゃん!」

「昨夜はどうだった⁉︎ 」


期待の眼差し向けられても困るよね。

昨夜は羽田からセカンドチューを奪われた以外、進展は何もないから。



「どうだったって……どうも無いですよ……」


ご期待に沿うようなことはしてません。
いつも通り飲みながら話して別れただけ。

次の休みの日に出かけよう……と、約束はしたけど。


「本当にぃ〜?店内でキスしてたって聞いたよ〜〜!」

「やるねぇ〜!若い若いっ!」


……店長ぉ、おっさん入り過ぎだけどぉぉ⁉︎


「一体、どこからそんな話聞いてくんですかっ!羽田と付き合い始めた時も、誰かに聞いたっぽい感じでしたよね!?」


私も羽田も話さなかったのに、知り合いでもいるの⁉︎

バイト君の誰かが働いてる⁉︎

それとも、店長かクマさんがそこにいた…⁉︎


「否定しないってことはしてたんだーー!そうなると羽田ちゃんの童貞卒業も近いよねぇ!」

「菅野ちゃん、よろしく頼むよ〜〜!」


人の質問に答えてないっ!!
ついでに言うなら茶化すなっ!!


「よろしくなんかされませんっ!!童貞卒業なんて、あり得ませんからっ!!」



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