あるワケないじゃん、そんな恋。
店に戻ってきた羽田は、店長とクマさんを連れて事務所の方へ行ってしまった。

私が店に戻ってきた時、店長達は相変わらずニヤついてて。


「菅野ちゃん、朝からはげし〜!」


からかうもんだから、思いきり足蹴っちゃった。



(……完全な八つ当たりだよ。私の……)


呑気な羽田の態度にも呆れるけど、それをハグやキスでごまかそうとするのも嫌。

イチャイチャしたら女が宥められると思ってるなら、大きな間違いだって言うんだ。


(少なくとも私は、そういうキャラの女じゃないから)


ファーストキス一つでも仕返ししよう…とか考える人間だよ⁉︎

可愛くないにも程があるんだから。


(……だからこんな私…いずれ羽田にも嫌われるって………)



女らしく甘えたりできないし、羽田の思う通りにも動けない。

好きなのに好き…って素直に言えない。

ツッパってばっかいるーーー。



(芹那ちゃんに『菅野さんみたいな』って言われ方されても仕方ない…。実際そうだし…)


天然だし、ガキだし……って、落ち込むなぁ。ホントに。






「菅野……」


ほら来たよ。

好きだけど、苦手な男が。



プイ…と反対向いちゃえ。

話しかけないで…って言ったでしょ!



「菅野、こっち向け…って!」



腕引っ張ったりしないでっ!!


今そんな気分じゃないっ!!




「……離してっ!!」



バカ!って言ったでしょ!

知らないって言ったじゃん!!



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