あるワケないじゃん、そんな恋。
ーーあの後、ずっと店の中で追いかけっこだよ。

羽田ってば自分の仕事の手が抜ける度に私のとこに来ようとするんだもん。


グイグイこないで…って思ってるのに、どんどん近づいてくる。

「話したいことがある」とか何とか言って。



「…っもう!!あっち行って!!」


職場でイチャつくとか嫌なのっ。

クビにされたくないからぁ…。


「…だったら仕事引けてからでもいいけどぉ?」



夜は余計にマズいよ。

どこで誰に見られるか分からんから。



「………今聞く」


ねっ、結局そうなるんだよ。



バックヤードの隅に隠れた。

何だかヤバい話するみたい。

もっと明るい所でしよ〜よ…。




「お前がさっき言ってた飲み屋でのことな……」


しゃがみ込んで羽田が言うから、目線合わせるように膝折った。



「何よ…」


こうしてるとヤンキーな気分。
タバコでも吸ってたらそのものだよね。


「…あの店、店長のお兄さんが勤めてるらしいんだ……」


「えっ⁉︎ 店長のお兄さん⁉︎」


人の良さそうな顔した店長を思い浮かべる。

似てる人いたぁ⁈
店長よりも年上そうな人で〜〜⁈


「厨房で働いてるらしい」

「あ…どうりで。見たことないと思った。…でも、その人なんで私たちの顔知ってんの⁉︎ 」


お会いしたことないよねぇ???


「俺が何度かあの店に店長と飲みに行ったことあって。それで面が割れてるみたいなんだ……」


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