あるワケないじゃん、そんな恋。
(あんたのせいかい……)


口には出せないけど、思いきり嫌になった。
そんな人がいるのに、よくチューとかしたよねぇ…。


「俺もまさか店長のお兄さんがいるとか知らねーからさ。人多いし、誰も見てねーわくらいしか考えてなかった…」


次から気をつけるわ……って、最初から気をつけてよ。


「菅野にも厄介かけて悪かったな。あの件、店長達に話しといたから…」


「あの件……?」

「だから、ど……」

「うわ〜〜っ、待って!!いいっ!言わなくても……!!」


さすがに『童貞、童貞』…って、何度も聞きたくないよ。

意識もしてなかった時と違って、今は少しくらいの恥もあるから。



「許してくれる?じゃあ話しかけてもオッケー?」


「一応は…」


「一応〜〜⁉︎ …俺たち付き合ってんだよ?」


「それ店外で…のことだから。ここ職場でしょ!線引きなよ!」


「男みてーなこと言うなぁ」


「それバカにしてんの⁉︎ ガキだって言ったのそっちでしょ!」


ムッとした顔見せたら、プッと笑われた。


「泣いたり怒ったりして………可愛いヤツ!」


つんっ!…って、おデコ突くなぁ〜〜!!



「…もう!持ち場戻るっ!」


パート身分でサボったりしたらクビになるもん。



膝伸ばして歩き出そうとしたのに、足首掴まれて転びそうになった。


「やめてよっ!危ないでしょっ!!」

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