あるワケないじゃん、そんな恋。
運転席に座ってる羽田を見るのは初めてのせいか、ちょっといつもより男っぽい気がする。

考えてみたらお父さんが運転する車以外に、男の人が運転する車に乗ったことなかった。


(そっか。普通にデートってこんな感じなんだ……)


車内で二人きりか。

やっぱ緊張するなぁ…。


「寒いか?そこのボタン押したら暖房強くできるぞ」

「どれ?」

「そこの矢印付いたやつ」

「コレ…?」

「いや、こっち」


トン…!って指ぶつかっちゃった。

たったそれだけなのに、心臓跳ね上がったよ!!


「……ホントだ。あったかい……」


何気なく下向いてごまかそう。
顔熱いなぁ。
首引っ込めてファーの中に隠れたい…!


「何やってんだよ。カメかお前は……」

「ち、違うよ!ちょっと肩の運動を……1、2、1、2…」


ごまかすのも大変〜〜っ。


「変なヤツ」


ええ。ええ。
今、十分自覚してますからっ!



こんな感じで複合施設までもつのかな。
心臓ドッキドキだし、どんなこと喋ったらいいかもわからんし。


教授本には何て書いてあったっけ〜〜?

えーと、えーと…。



「音楽でも聴くか?CDそこあるぞ!」

「どこ?」

「ほらっ足元のケース…」

「あっ、コレ⁉︎ 」


ぎゅっ。


「あっ…!」
「ひっ…!」


「ひっ…?」


羽田の顔がこっち向いた。
ヤバいヤバい!
今の声変だった!!

< 156 / 209 >

この作品をシェア

pagetop