あるワケないじゃん、そんな恋。
バカだった……と反省したのは、その日の夕暮れ時。

朝から降り始めた雪が地面に薄く積もってる中を帰り始めた頃。


結局、羽田とは全く話もできないまま仕事が終わった。

レジ打ちを頼まれた後、羽田は本部に呼ばれて出て行ったから。



「本部に呼ばれるなんて、初めてですよね〜」


バイト君の言葉に、店長とクマさんが頷いてた。
何か悪い事でもしたんだろうかと気になって、仕事どころじゃなくなって困った。


羽田は私がいる間に本部から戻って来ることもなくて、退勤時間がきたから上がった。


駅へと続く道の途中では、待ち伏せもされてなくて……。


このままやっぱサヨナラなのかな……って思うと、どんどん落ち込んでくる。

歩くのも苦痛になって、膝折れして泣いてしまった。


(こんな苦しい思いを抱え込んだまま、明日を待つなんてできない!羽田に会おう!会って自分から謝るっ!!)



意を決して電話したんだよ。


なのに。


……なのに!



『ただいま電話に出ることが出来ません。ピーーという発信音の後、お名前とご用件をお話し下さい……』



ふざけんなっ!!

やっぱ羽田はバカァ!!!




< 187 / 209 >

この作品をシェア

pagetop