あるワケないじゃん、そんな恋。
「何だよ…」

「いえ、あの…その……も、もう一度、名前で呼んで欲しいかな……って思って……」



初めて男に名前で呼ばれた。

体全体がビリビリと電流が走るような感覚がして、頭がポォ〜〜となった。


もう一度、聞きたい。


羽田の口からーーー。






「お安い御用。ちょっと近づけ」


一歩。いや、二歩側に寄った。


「少し遠いなぁ。まあいいか。時間ねーし」


寄ろうとする羽田の体を手を広げて阻止する。

無理矢理その手を引っ張って、羽田が一歩寄ってきた。


あったかい息が耳に吹き掛けられる。

それを感じて、肩に力が入った。






「……好きだよ。美結が……」



軽く触れた唇に気づいて振り向いたら、羽田の顔は大いに照れてて。



『キュン…』



胸が鳴るのが聞こえたの。



あるワケないと思ってた恋は、



確かにあるんだ…って知った瞬間だったーーー





THE・END
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