あるワケないじゃん、そんな恋。
泣くなんて思わなかったんだよ。

泣かせるつもりなんてなかったよ。

それほどショックを受けるなんて、思いもしなかったんだ。


……嫌われたー!って覚悟したよ。

でも、アイツ、気にしてないって言った。




「……でも、嘘だよな。あれ……」


思いきりマジ泣きしてたもんな。
許せないって顔して睨んでたもんな。

無理矢理テンション上げて騒いでたけど、ずっと菅野らしくなかった。


一生懸命演じてた。
可愛い子ぶって、俺を喜ばせようとしてた。

一瞬だけ気抜いて、いつもの菅野スマイル見せたけど……。

直ぐにまた作り笑顔に戻ったよ。
そして、そのままグッバイだ。


「……これからアイツ、毎日あの顔のままなのかな……」


似合わねぇから止めとけ…なんて言ったら嫌われんだろーなぁ。

嫌われたらマジで口聞いてくれそうにねぇなぁ…。


…しょうがねーから今のところは大人しくアイツの調子に合わせといてやるか。

変にご機嫌とりするよっか、その方が気がラクだ。


ノっといてやろう。
騙されたフリしとけばいい。

ホントの恋愛は後からにして、先ずはアイツのご機嫌が直るのを待つか……。



「……でもなぁ……」


相手は恋愛経験ゼロの菅野だよ。


どうやって恋を教えたらいい?


あいつどう見ても俺なんか眼中にねぇよ。


恋なんてするよりも美味いもん食べてる方がいい…って顔してる。

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