あるワケないじゃん、そんな恋。
「じゃあ何するの?ショッピング?…あっ、分かった!プレゼント買ってくれるとか?」


「それもナシ。お前が俺にくれんなら別だけど?」


「えー⁉︎ 私、用意してないよ。だって羽田、プレゼントねだってこなかったもん!」


「何だよ、それ。イブにプレゼントも無しとかあり得んだろ。普通はリクエストしなくても用意くらいするもの!」


「えっ…そうなの?大人になったらしなくてもいいのかと思ってた。……ふぅん。そうなんだ〜」


「おい、そこマジで感心かよ。勘弁しろよな、全く」


呆れるわ…と呟かれた。
悔しいけど、機嫌損ねると折角の企みがパァになるからーー


「じゃあ後で何か買ったげる!…っと言っても、予算少ないから100均で!」

「ぶっ…!ひでぇな、その扱い…!」


もはや何も言えん…と、羽田は呆れるように笑った。

でも、機嫌はちっとも悪くないみたい。

お色気モードには何の反応も示してくれなかったけど、機嫌悪くないならいいや。



足組むのをやめて、窓の外に広がるネオンと夜景に見入った。

ここ何年間も夜景なんて見たこと無かった。


(……綺麗なんだなぁ……夜の街は……。昼間とはまた別の顔してる……)



隣に座ってる羽田の体温を感じながら、こいつの彼女になったらどんな扱い受けるんだろう…と思う。

友人の時とは違うのかなぁ…と思いつつ、今は恋愛の練習中だった…と思い出す。

練習と言ってもいつもと変わりのない羽田の様子に、少しイライラしながらバスは目的地へと進んでいったーー。



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