あるワケないじゃん、そんな恋。
またしてもその甘えモードか。
似合わねーからやめろって。


(…と言ったところで嫌われるのがオチだから……)



「…そんな長いの履いてきたお前が悪い。自己責任で頼む。俺は知らん」


「な…何よ、ケチ!」


いつかの童貞騒ぎの時に言われた言葉を返してやった。
菅野はぶぅたれながらも付いてくる。

唇尖らせてブツブツ言って。


可愛い顔してら。



(……たまんねーなぁ…こういうの)


漫画の中の出来事だけかと思ってたけど、実際にできるとなると痛快だな〜。


ツンツンする俺に付いてくる彼女か。


おもしれ〜!




ちらちら…と目線だけ向けてやる。

菅野は本当にやっとこさ歩いてるみたいで、何とか店の前までやって来た。



「ほら、入るぞ!」


カランカラン♪ とドアベルを鳴らしてガラスドアを抜けると、そこは木の香りが漂う店内。

正面に置かれたガラスケースには、話題のシューケーキの他、クリスマスらしいホールケーキも並んでる。



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