あるワケないじゃん、そんな恋。
「………なんだ、その顔…」


言うまい…と思ってたよ。
でも、菅野がちっとも嬉しそうじゃねーから気になるんだ。


「な……なんでも無いよ…!」


(ーーーってふうに見えんけどぉ?)



ここで更にツッコんだらまた怒るんだろうなぁ。
こいつのリクエスト網羅したつもりでいたけど、観覧車はアウトだったか……。



「まさかとは思うけど、お前、高所恐怖症か?」


ブンブン…!と大きく頭を横に振る菅野に首を捻った。


高い所が苦手じゃなければなんだ⁉︎


「閉所恐怖症?」


またしてもブンブンと頭を横に振る。



「だったら何だよ!なんでそんな渋い顔すんだよ!ワケを言えよ!!」



もうやってらんねー。ご機嫌取りやめた。




「わ………」


「ん?」


菅野の顔は薄っすら赤かった。
仄暗いゴンドラの中でもそう見えるってことは、実際、かなり赤くなってたのかもしれねぇ。



「わ……私……さっきからかなり驚いてて………」


「何が?」


膝を組んで菅野を見た。


膝の上に手を置いてたやつは、その体勢のままぎゅっと手を握り締めた。


「……思いつきで言ったこと……羽田が全部、間に受けてるから……!」


「な……何だ、それ!!」



もっと他の言い方できねーのか⁉︎

…ってか、そもそも思いつきだったのかよ!


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